中村恵里加『ダブルブリッド』。

読了。第6回電撃ゲーム大勝金賞受賞作である。率直に言って面白かった。文章はやや生硬かなと思わないでもなかったがもしかしたらこれは個性なのかもしれない。しかし展開が早く次々にたたみ掛けるエピソードに載せられてするすると最後まで読めてしまった。愛し愛される対象を切実に求めている人間のなりをした人間でない主人公や、銃器や肉弾での戦闘により残虐に破壊される肉体の描写など平井和正の「ウルフガイ・シリーズ」を強烈に彷彿とさせる。あれは俺の中で「狼のレクイエム 第二部」で時間が停まっているのだが、こちらは続刊がたくさん出ているようである。小説賞応募作にしてこんなに伏線張りっぱなしってのも反則だろとも思うが続きはやはり気になるもので。読んでみようか。
で、新井素子がらみの話。seiさんから教えてもらった「山崎太一朗」という登場人物の件、こちらは「やまざきたいちろう」なんですな。「星へ行く船」の方は「山崎太一郎」と書いて「やまさきたいちろう」と読む。漢字一字違い。読みも一字違い。性格は山崎ひろふみに似てるところもあるような。うーん、わざとですか? 「反省はしている、だが後悔はしていない」というフレーズも何となく新井素子テイストのような。うーん、これはでも他で聞いたことがある気もする。どうか。