海原零『銀盤カレイドスコープ』vol.3 ペア・プログラム:So shy too-too princess。

読了。主人公に対する相棒の不在がストーリーと語り口の両方でどのように克服されるのかという興味で読み始めた。うーん、この巻はあまり楽しめなかった。
前者に関してはその不在を克服する事でタズサが成長するストーリーになるのではとの思い込みがこちらにあったのでそれはまずかったかもしれない。作者に相棒の不在を克服させるという意志はなかったようである。予め失われた恋人の思い出を胸に抱いてタズサはこのまま「フーテンの寅さん」の如く決して報われない恋の道を歩んでいくのだろうか。
後者に関しては、前作で主人公と相棒の掛け合いがノリが良くておもしろかったので相棒がいなくなってどうなるのかと思っていた。果たして一人称がたるく感じる。vol.1を読み始めてすぐ文章中に「……」がやたらと多いのに閉口した。タズサの性格にしてこの歯切れの悪さはないんじゃないだろうかと思ったのである。それはこの巻でも同様で、vol.1では読んでいるうちに気にならなくなったのだが、この巻ではずっと引っかかったままだった。
あとは昨日の日記に書いたこととかが気になった。
ラストの方のスケートの描写は相変わらずすごくいい。これは言っとかないと。