読了。第2回スーパーダッシュ小説新人賞の佳作受賞作である。応募時は「地下鉄クイーン」という題だったが出版に当たって改題したものらしい。登場人物たちの行動理由がいまいち不明瞭で話の流れに沿ってお決まりの行動をとっているだけのように感じられるのが不満。もっと面白くなったような気がする。
ちなみに新井素子さんの選評はこんな感じ。
それから、佳作になった『地下鉄クイーン』。私は、構成にいささかの疑問を感じました。主要人物が、いつでも、作者にとって都合のいいタイミングで都合のいい位置にいる。ま、お話ってそういうものだって言えばそうなのですが、それも、あまりに度重なるとちょっと。また、主人公がカナリアを助けたいと思う動機が(特に最初のうちは)弱すぎる。まして、地下鉄クイーンが主人公に求めた代償はとんでもないものなのですから、もっと切実な動機がないと、構成的に辛いです。ですが、教会のシーンは綺麗で感動的でしたし、キャラクター造形も面白かった。
【引用】「第2回スーパーダッシュ小説新人賞」新井素子の選評
新井素子さんの二番煎じで申し訳ないが、俺も教会のシーンはとてもきれいだと思った。
- 『ネザーワールド −カナリア−』,東佐紀,集英社スーパーダッシュ文庫,ISBN:4086301423