夢枕獏『獅子の門 白虎編』。

読了。ようやく、である。5人がひとつのトーナメントで拳を交える展開となった。茫漠として一体どこへ進んでいくのかという物語だったが、収束に向かう気配を見せている。格闘場面の描写が昔のように腕力に任せて肉体のきしみをこれでもかと描ききる手法から、闘う者の心理をリアルタイムでサイコダイブ風に描く方向へと変化を見せている。これが新境地ということだろうか。どちらもいかにも夢枕獏らしく、昔のようなほとばしるパワーは感じないもののあいかわらず読ませてくれる。続きはそれほど待たなくてもいいようなので、期待するのである。