綿矢りさ『蹴りたい背中』。

読了。冒頭の1フレーズにシャイニング・ウィザードを喰らったような衝撃を受け、先を読むのが怖くなって以来読むのを躊躇していた小説である。しかし今日なんとなく手にとったらそのまま最後まで読んでしまった。
予感的中、というか。
突き放したような情景描写と主人公の冷やかな目線によって浮き上がってくる風景にズキズキとこちらの痛い所を衝かれているような、自分の痛さを見透かされているような、恐怖とも悔恨とも懐旧とも苦笑ともつかないような複雑な気分が身内に湧き起こってくる。この閉塞感は今でも俺の中に存在するものでもある。素直に面白かったというのは非常に抵抗があるのだが、ある種の感銘は強く受けたと言わざるを得ない。