『日本SF全集』に収録する新井素子の長編は?

明日は「S-Fマガジン」2004年8月号の発売日である。日下三蔵の連載エッセイ「日本SF全集[第三期]」は『第一巻 新井素子』の第2回が掲載される予定である。新井素子さんの中短編から収録作を選択したのが前回で(→「S-Fマガジン」2004年7月号。 - 雑録)、今回は長編の収録作を二本ピックアップするらしい。
で、ただ待っているのもつまらないので俺なら何を選択するだろうかと考えてみた。というか二作、というなら迷う間もなく決まっている。『・・・・・絶句』と『チグリスとユーフラテス』にする。二作とも新井素子さんのその時点での到達点を示した労作で、作家の歴史を概観できるという意味で「SF全集」に収録するに相応しいと思う。おもしろさについても文句なし。
ただ。
この連載では1巻1600枚以内という制限が儲けられているのである。他にも中短編小説を収録しなきゃいけないから、どちらも長すぎて収録できない。とほほ。
では、次の候補を考えよう。原点を見つめるという意味で、処女長編『いつか猫になる日まで』は外せない、ということでよろしいか。そしてもうひとつは……うーん、ここで悩むのである。『おしまいの日』と行きたい処だが、これはホラーなので「SF全集」に入れるのはどうかと思うし。シリーズものもどうかと思うし。個人的には『扉を開けて』が好きなんだが、新井素子さんの作家としてのキャリアの中では突出した作品とは思えない。『ラビリンス――迷宮――』や『二分割幽霊綺譚』や『ディアナ・ディア・ディアス』も然り*1。となると『ひとめあなたに…』か『あなたにここにいて欲しい』か。どちらも後のサイコホラー執筆につながる傾向が色濃く見られる点でも採り上げておきたい作品だ。『・・・・・絶句』より後の作風の変化を重視するなら『あなたにここにいて欲しい』だが、読んだときのインパクトで言えば『ひとめあなたに…』なんだよなあ。
よし、わかった。『いつか猫になる日まで』と『ひとめあなたに…』にしよう。短編一作をまだ収録する余地があるから、合わせて「宇宙魚顛末記」も収録すれば万々歳である。つーことで、akapon個人のセレクトはこの二作に決定。
日下三蔵は果たしてどの作品を選択したのだろうか。読むのが楽しみである。

*1:個人的な好みはこの際無視。ファンの人ごめんなさい。