星野之宣『宗像教授伝奇考』第六集

読了。これが最終巻だろうか。単行本だとまだ「特別版」が一冊あるようなのだが、物語としては収束した気配が濃厚である。白鳥と”鉄の民”を巡る歴史譚の集大成である「流星剣」の濃密さはどうだ。これまでに語られた物語と、歴史が語る処の敗者たちと、そして現代に生きる宗像教授自身をも重ね合わせて大胆な仮説が組み上げられていく展開に感嘆を禁じ得ない。とても余韻の残るいい終わり方だったと思う。
他には「夢と知りせば」が秀逸だった。『妖女伝説』の「月夢」を思わせる叙情的な短編である。儚い恋情が歴史上の出来事を照射しながら昇華されていく様の美しさに胸が締め付けられる。切ない。