東浩紀『動物化するポストモダン』。

P.81に新井素子さんの名前が出てくる。

 ふたたび大塚を参照するが、彼はこのような小説が台頭する背景に、リアリズムそのものの変化を指摘している*1。近代小説が現実を写生しているとするならば、オタク系小説は虚構を写生している。清涼院の描く登場人物や物語は決して現実的ではないが、先行するコミックやアニメの世界では可能なものであり、したがって読者はそれをリアルだと受け止める。大塚はこのような態度を「アニメ・まんが的リアリズム」と予備、その起源を、七〇年代末、新井素子が「マンガ『ルパン三世』の活字版を書きたかった」と発言したことに求めた。

大塚の『キャラクター小説の作り方』や『サブカルチャー文学論』に書いてあった新聞記事の孫引きをさらに引用したものである。この段落の注に『物語の体操』の書名が出てくるが、同じ記事がその本にも記載されているのだろうか。確認を要する。

*1:注28 『物語の体操』、198頁以下。