桜坂洋『よくわかる現代魔法』。

読了。「第2回スーパーダッシュ小説新人賞*1の最終選考に残りながら選外となった「魔法使いのネット」を加筆訂正して出版した本。新井素子さんが選評を書いた作品であるので、興味を持って読んでみた。
魔法=コードってのはおおおなるほど〜と感心したものの、あまり感銘を受けるに至らなかったのは、俺が業務ではCOBOLでしかプログラムを組んだことがなく、Cは研修と趣味でちょっとかじっただけのたいした実力もない中途半端なプログラマだったからだろうか。かなりの確率でそんな気がする。関係ないが「デーモン」の綴りは「daemon」じゃなかったっけ? 目次とP.107では「deamon」になっている。ミスか?
話はつまらない訳じゃなくて、よくできてるし読ませるし、主人公の「ドジっ子」さ加減はかわいいなあとも思う。しかし俺の心に突き刺さるものがない。肩に力を入れないでぽわーんと読むのにはいいのかもしれない。また、様々な記号をまとった女子が4人登場してくるので、キャラクターに萌える人にはもっといいのかもしれない。萌えってよく判んないけど。
「魔法使いのネット」の新井素子さんによる選評はこんな感じ。

『魔法使いのネット』。実はこのお話、文章は気持ちよく、キャラクターにも厭みはなく、すらすら読めて……うん、減点法では結構いい処へいく筈。にもかかわらず、何故、このお話が賞をとらなかったのかというと……気持ちのいいキャラクター、さくさく進むお話の展開、これ、ぜえんぶ、どこかで見たことがあるような気がするからです。つまり、すべてが非常に類型的なんです。(特にキャラクター。)

キャラクターが類型的なのは多分に意図的じゃないかって気もするが、新しい何かが求められている場では、完成度が高くてもこぢんまりとまとまった作品より、完成度が低くてもどこか突出した作品が好まれるのかも知れない。
作者のあとがきを読むと改稿にはかなり苦労したようである。その甲斐もあってか、すでに続編の『よくわかる現代魔法 ガーベージコレクター』が出版されている。そしてふとキーボードの横を見ればすでにカバーの掛かったその本が置いてあるのである。こないだ静岡の戸田書店に行ったとき、久しぶりに大きい本屋に入ったので舞い上がってしまい、つい2冊まとめて買ってしまったのだった。『よくわかる現代魔法』は新井素子さん絡みでなければ買わなかっただろうなと読後に思ったが、頭を抱えて後悔する程でもなかった。だからそのまま続編を読むことにする。

*1:この時の大賞が海原零銀盤カレイドスコープ』、佳作が東佐紀『ネザーワールド』だった。