文体についてのメモ。

「天才少女対談」の中に文体について触れている箇所があったので抜き書きしてみる。

新井 で、その結果、今挙げた雑誌と『マーガレット』と週刊と別冊の『少女コミック』と『りぼん』と『プリンセス』と、あと『花とゆめ』と、『LaLa』と、とにかく割と有名な少女マンガ雑誌は大抵読んでたと思います。

谷山 じゃあ、「まあ読んでる」って言うような勢いじゃないじゃないですか、それは。普通の人だったらそんな読みませんよ。

新井 でも、それは中学校の時の話で、高校入ったらね、あんまりまわりで読む人がいなくてそれが崩れたわけ。最近は今言った講談社の雑誌と、『花とゆめ』と『LaLa』と『プチフラワー』と『プチコミック』と、えーとあと『プリンセス』と、それくらいしか読んでないです(笑)。

谷山 読んでます、充分(笑)。それでああいう口調になるんだ。なんて言うのかな。文学者の口調じゃないですもんね、やっぱり。

新井 それはそうですね。でもまんが読みはじめたのは小説書き出したあとからなんですよね、実は。

谷山 そうなんですか? いつ頃から書いてたんですか?

新井 んーと、書いてるのはずいぶん昔から。SFみたいなの書き出したのが中学校一年くらいからで、まんが読み出したのが中学校二年くらいからだから。

谷山 SF以外のもの、もっと前から書いてたんですか?

新井 少し童話書いてたんです。

中一から小説を書いているというのはよく出てくる話で、その時にお手本にしたのが小林信彦の小説「オヨヨ・シリーズ」だったと作品解説に書いてあった。上記の対談からは、書き始めた当初は全く漫画のことは意識していなかったということが判る。
SFの本』のインタビューに出てきた、

はやく読める文章をつくりたいと思ったんです。たとえば一冊の漫画と一冊の小説をいっしょに読みはじめると、読みおえるのは圧倒的に漫画のほうが早いじゃない。少しでもそれに近いくらい速く読めるような文章をつくりたいと思ったんです。

という意識は、中二以降に芽生えたということか。

11月27日追記

ひでおと素子の愛の交換日記3』に収録されている「マンガのおはなし」には冒頭にこう書いてあった。

初めて、自分で読みたいって思って漫画を読んだのは、中学一年のことでした。

その読みたいと思った漫画が萩尾望都の『ポーの一族』である。記憶に食い違いが見られるが、『S-Fマガジン』の書評を読んだことがきっかけとのことなので、当時の雑誌を調べれば年代の特定は可能だろう。読みはじめた年はさておき、小説を書き始めた後に漫画を読むようになったというのは事実と推定して構わないだろうか? 現時点では当人の言葉を信じる以外に断定する根拠はない。ちなみに、漫画雑誌を真面目に読むようになったのは『ポーの一族』を読んで以降と書いてあった。