福田政雄『殿がくる!〜京都は燃えているか〜』。

読了。第3回スーパーダッシュ小説新人賞佳作受賞作家の2冊目の本にして受賞作の第2巻である。
最後まで一気に楽しく読んだ。トリックスターとして現れた「殿」がだんだん現代に馴染み始めたせいか、それとも途中で体調を崩したせいか、第1巻ほどのパワーを感じることは出来なかったのは少々残念である。しかし、過去から続く物語が現在の物語とクロスし収斂するところなどよく考えられている。テンションが低いと感じたのは、2巻目にしてシリーズに落ち着きが出てきたということなのかもしれない。きちんと性格付けされたキャラクターたちは健在である。2chを思わせる巨大掲示板に「殿」が登場したらどうなるか、というのをまざまざと見せてくれた書き込みは傑作だった。
他に不満点を挙げるとすると、キャラクターが増え、物語の構成上細かいエピソードを積み重ねる必要があったせいか、それぞれの書き込みが少し浅くなっている印象があった。特に、見えないところで活躍していた筈の倉田とレイの奮闘ぶりはきっちりと読んでみたかった。女子プロレスラーなんて面白い設定にしているのにアクション描写がないのはもったいない。彼女はもう登場してこないのかな?
俺はこのシリーズがとても好きだ。続刊が出たら必ず読むよ。