少し後のインタビュー。

宝島 1982年3月号』のインタビュー。『通りすがりのレイディ』が出版されて、『扉を開けて』が近刊と紹介されている時期である。まだ一般読者に名前があまり浸透していないことが紹介文によく表れている。

 SFという特殊(?)な分野で活躍してきたせいか、『宝島』の読者で彼女を知らないヒトもいるかもしれないが、すでに七冊の単行本を出しているバリバリの実力派なのである。

自分で最初に読んだ本は『みつばちマーヤの冒険』とか、小学三年の時『クオレ』を読んで内容に怒ったとか、半村良を読まないのは人生において受けとる娯楽の何パーセントかを自ら放棄しているようなものだ、とか興味深い話がいろいろ出てくる。その中にレイモンド・チャンドラーの名前が出てくる箇所があったのでチェックしておく。新井素子さんが影響を受けた文体を調べていて気になっていた作家である。

 主人公が、犬神明さんッていうんですが、スゴク素敵な方でネ、中学時代ずうっと彼に憧れ続けていたんです。どォ言えばいいのかしら。たとえばレイモンド・チャンドラーなんかも好きなんですけど、フィリップ・マーローはイイなァって思っても、それは犬神明さんの方が、日本人の部分だけ感情移入しやすい性格をしているんです。ちょっとあっちのは渇きすぎているというか、そのワリには、すごくセンチメンタルだし、好きなんだけど、フィリップ・マーロー素敵!というほどには好きになれないんです。

読んでいることが明確に判ってよかった。犬神明の話題がここでも登場しているのには愛を感じますね。