エッセイの連載始まる。

12月20日発売の『pumpkin』2005年1月号(潮出版社)に新井素子さんの新連載エッセイが掲載された。タイトルは「読書の缶詰」。新井素子さんが読んだ本について語るエッセイである。今回紹介されているのは喜国雅彦の『本棚探偵の回想』(双葉社)。前著『本棚探偵の冒険』は俺も読んだことがあるのだが、古本収集に少しでも興味を持っている人ならば彼の本への愛着に共感を覚えつつも、その業の深さに戦慄を覚えずにはいられないという面白本なのだった。新井素子さんはこのエッセイの中で本好きの自分のことを”業が深い”と思っていたと述べた後、古本収集に血道を上げる人たちに比べればその業なんて浅い、との感慨を漏らしている。年間数百冊の本を読破する筆者をしてこのような感慨を抱かせる”古本者”の業の深さはただごとではないのである。値段が高くて手が出なかったので今まで読んでいなかったのだが、このエッセイのおかげで読書欲が沸々と沸き上がってきてしまった。どうしよう。このエッセイ、次号以降も楽しみである。
連載とは全く関係ない話。『pumpkin』を発行している潮出版社は某教団系列の出版社である。表紙には名誉会長の連載対談などが大きな文字で書いてある。大学で禅宗を専攻した俺であるから、買うのになんとなく抵抗感があるのも正直なところ。ほら、何しろ「天魔」て言われてるし。*1潮出版社の漫画本はこれまでにも多数買っているから、今更気にするというのもおかしいか。それに、よく考えてみれば心理的な抵抗感は雑誌『コバルト』を買う時の方がはっきり言って大きい。
何れにしろ、これしきのことで抵抗感を覚えているなんざ俺もまだまだ功夫が足りないってことだな。精進しよう。

*1:日蓮宗の開祖である日蓮上人は他宗の排斥にも熱心で、「念仏無間 禅天魔 真言亡国 律国賊」という言葉を残しておられる。これは「念仏宗(浄土宗や浄土真宗)は無間地獄に堕ちる。禅宗臨済宗曹洞宗)は仏道の妨げを成す魔王である。真言宗は国を亡ぼす。律宗国賊である」という意味。ちなみに「殿」こと織田信長が自称した「第六天魔王」てのは「天魔」と同意。