辻真先『迷犬ルパンの檜舞台』。

作中に新井素子さんが登場しているとの情報を得たので古本屋で入手した。架空のSFファン大会「SFまつり」を舞台にした長編ユーモア推理小説である。著者の辻真先日本SF作家クラブの会員でもあり*1、作中には多数のSF関係者が実名で登場してくる。新井素子さんもその中の一人である。風見潤の解説によれば当時のSF大会辻真先の姿をよく見かけたそうで、その取材活動の成果か新井素子さんの登場シーンも現実味があり、当時の人気作家っぷりと方向音痴っぷりはファンなら思わずくすりとさせられるに違いない。文庫版より先に1984年にカッパ・ノベルズ版が出版されているので、そちらも捜すことにする。
辻真先の小説を読んだのは随分久しぶりだ。「迷犬ルパン」シリーズを読んだのも初めてなのである。読後にやるせない感情が残るのはちと辛かったが、軽妙な文章は相変わらずで楽しく読めた。マンガ家の那珂一兵氏は他の小説にも出てきたような記憶があるが、どれだっただろう。『宇宙戦艦富嶽殺人事件』だったか?