石持浅海『水の迷宮』。

「読書の缶詰」で新井素子さんが紹介していた小説である(id:akapon:20050120#p1)。まだ読んでない人は以下の感想文は読んじゃだめ。


面白かったし確かに感動するのである。しかし同時にどうにも割り切れない気持ちも抱え込んだまま読了した。「夢の実現」と言えば聞こえはいいが、大儀を達成するためなら個人の意志を犠牲にするのも仕方がない、と言われているように感じられてならない。登場人物達が内心の葛藤はあるにしろ結局共犯関係を結ぶ姿に非常な抵抗感を覚えた。『湯殿山麓呪い村』映画版の「皆、語るなかれ、聞くなかれ」という陰惨なキャッチコピーが思い起こされる。
そんな訳で登場人物達に最後まで共感することが出来なかった。この感想って、飲み込まざるを得ない毒の一つとしてさらっと飲み下すべき処を、俺がナイーブにも過剰に反応してしまっているだけなのかなあ。


ここまで。