大塚英志+ササキバラ・ゴウ『教養としての〈まんが・アニメ〉』。

新井素子さん絡みで読んだ大塚英志の著書で語られる内容や言葉の使い方がいまいちピンと来ないので、参考になればと読んでみた。「はじめに」で大塚は本書の内容について下記のように述べている。

本書の中ではぼくはまんがにおける身体表現と内面の表現技術、ササキバラ・ゴウはアニメにおける演出技術のディテールを通して、作品の主題というある意味ではとても古くさい考え方と向き合います。さらに、その技術と主題がいかにして戦後のアニメ史、まんが史の中で世代間で継承されていたかについても記述しようとしています。

むしろぼくたちがここで示したかったのは、まんがやアニメ表現の現在へと到る道筋を技術と主題と私的な体験の三つの関わりの中で思考し、語り、伝えていくというこの「立場」そのものにあります。

ただの「知識」や「蘊蓄」という意味での「教養」でなく、そのような「立場」を自分より若い読者に伝えようという意図を持った本であるらしい。
この本を読んでようやく大塚の言う「非リアリズム」とか「記号的身体」という言葉の使い方が解ってきた。手塚治虫ちばてつやなどの実例を挙げ、戦後のまんがにおける歴史的な経緯が説明されるから解りやすい。
と同時にその概念を新井素子さんの作品に適用することの齟齬もより鮮明になってきたような気がする。もう少し検証してみよう。