マスターグレード。

床に伏せっていた処、本日7歳の誕生日を迎えた甥っ子が「ガンダムの付録があるから一緒に作ろう」と声を掛けてきた。風邪を移しちゃ悪いと思ったので、また今度にしようと言って引き取ってもらったのだが、しばらくしたら手に何やら小さなパーツを持って再び現れ、「これがはまらないんだけど」と困惑の体である。風邪移っても知らねーぞーとのそのそ起き出して茶の間へ行ってみると、そこにはプラモデル「MG 1/100 ガンダム RX-78-2(Ver.Ka)」を前に途方に暮れている我が父63歳の姿があった。おめぇこれって全然付録じゃねーだろ。つーか大人向けだろ。なんでここにこんなものが。7歳児はデヘヘと笑うのみである。
結局代わりに俺が作ることになるのである。ニッパーやカッターの工具もない状態では正直しんどく、おまけに鈍痛が去らない頭ではMGの細かいパーツを捜すのも億劫で泣きたくなってくる。作りながら、どうしてこんな難物をピカピカの一年生風情が持っているのか聞いてみると、誕生日プレゼントにみよが買ってくれたと言う。みよとは母方の祖母のことである。家に買ってあったと7歳児は言うのだが、物品の遣り取りが絡んだ時の彼の言い分を信用してはいけない。ホントか〜? と更に突っ込むと「オレが買ってって言った」と白状し、またデヘヘと笑った。
7歳児の作業能力を超えた物であるのは確かなので、こんなものを周りの大人が買い与えないように注意せねばと考えながら、しかし反面、父親が仕事でめったに家にいない寂しさから、一緒にプラモデルを作ることによって構って欲しいという気持ちが芽生えたのかも知れんなあと少し不憫にもなる。去年だったかSDのニューガンダムを一緒に作ったことがあったのだが、その時の彼は俺が作っているのを見ているだけだったのにとても楽しそうだったのが思い起こされる。
プラモデルの完成までにはまだ大分時間がかかることが予想される。なのでその間は、会話の中にプラモデル作りの楽しさとか学校の勉強で必要な知識とか一般常識に対する備えとかを織り交ぜながらできるだけ楽しく弄り倒してやろうと思う。