読了。ずいぶん前に買ったまま放置してあった本。急に読む気になったので読んでみた。この辺り、山田正紀の『神狩り2』が非常に気になっているのにまだ買えていないという心理状態が影響しているのかも知れない。
アブダクション体験や臨死体験を脳内物質を用いて解釈していく道筋やそこから導き出される驚くべき真相などは面白く、読み応えのある内容だった。しかしプロレスに例えると、投げっぱなしジャーマンやパワーボムなど大技を畳み掛けたダイナミックだが大味な試合展開で、どんな決め技で決着が付くのかと期待していたらスクールボーイ*1で丸め込んで3カウント入ってしまい、え、こんな派手な試合なのにこんな地味な技で終わっちゃうの、という感じ。結末の見事さについては文句はないのだが、投げっぱなしで放り出された細々としたことが多く、拡げた大風呂敷をだんだん畳んでいく快感というのを味わうことが出来なかったように思う。俺の理解力が不足しているだけかも知らんけど。
ちなみに、第19回日本SF大賞の受賞作である。
- 『BRAIN VALLEY』(上),瀬名秀明,角川文庫,619円+税,ISBN:4043405022
- 『BRAIN VALLEY』(下),瀬名秀明,角川文庫,619円+税,ISBN:4043405030
*1:一瞬の切り返しで相手を丸め込みフォールを奪う技。スモールパッケージ・ホールド、小包固めとも呼ばれる。