新装版『いつか猫になる日まで』を読み返した訳。

「健康の為、吸い過ぎに注意しましょう」

「そう言いながら火をつける神経、判んないなあ」

「JTだってこういいながら売ってるじゃない」

「専売公社」(文庫版)→「日本たばこ」(愛蔵版)→「JT」(新装版)
という表記の変化が目に付いたくらいで、あまり内容に手は加えられていないのかな? 詳しくは検証してないから判らない。
あと、13ページの夢の中のシーンのイラスト、本文と並ぶ順番が違ってね? 本文だと、もくず→木村→あさみ→殿さん→姫→誠→もくず、なんだけど、イラストだと、もくず→あさみ→木村→姫→誠→殿さん→もくず、になってる。まあ細かい話で別にいいんだけど、ちらっと気になったもんだから。それから、P.247のもくずと誠が二人で歩いているシーンは、構図が最初に出た文庫版のP.243のとまるきり同じだね。これってきっとわざとだよね? ちょっと感動した。イラスト自体の雰囲気もいいし、こういうサービスは素直にうれしい。
新装版なんで、既に持っているのを読み返すのとはまた違った新鮮な気分で気合い入れて読んだんである。そしたらやっぱりおもしろい。会話がノリがいいんだよね。地の文を挟みながらかけあい漫才の如くテンポ良く続く処なんか大好き。
この年になってまた新たな読み方を発見したりとか、やっぱり同じ処で泣いたりとか、あの頃から進歩してるんだかしてないんだかよく判らない。でも、こういう「心の一冊」みたいな本があるのはきっと幸せなことなんだろう。読む度に色んな思いが蘇るから。
復刊してくれたコバルト文庫編集部に限りない感謝を。