井上雅彦監修『キネマ・キネマ』−異形コレクション−。

ずっと前にあかいくつさんより教えて頂いた本。図書館にあったので借りてきた。実力派の作家陣による「映画」に材をとった書き下ろしホラー短編小説を収録したアンソロジーである。その中に矢崎存美の「あたしの家」という話がある。その冒頭、井上雅彦によって書かれた作家紹介に新井素子さんの名前が登場する。P.116である。

現在では、個性的なファンタジー『ぶたぶた』のヒットで知られる矢崎存美新井素子をして絶賛せしめたこの作品は、日常生活に豚の縫いぐるみが介入するというコミカルな着想が目を惹くが、むしろ、それにより運命を変えられていく人々のリアルな人間ドラマの描写筆力が、物語の深みと同時に、えも言われぬ「奇妙な味」を醸し出している。(以下略)

新井素子関連の話題はとりあえずこれだけ。素研に情報を追加しよう。
異形コレクション」シリーズを読んだのは初めてなんだが、というかこのような複数作家の作品を収録したアンソロジーをあまり読んだことがないのだが、ひとつのテーマについてそれぞれの作家が腕を振るうという趣向のこの本はとても読み応えがあり面白かった。この中では石田一未知との遭遇」と浦浜圭一郎「ディレクターズ・カット」が好きだ。久美沙織の「RESTRICTED」は4回読み返してもオチが判らない。困った。