「女性のエッセイ・アンソロジー」とサブタイトルが付いている。編者による巻末解説に、
このアンソロジーを編むことになったのは、「女性によって書かれた/女性向けの」出版物のありかたや読まれかたへの、あるいは、「書く」ということに向けられる女性の表現欲の産物としての本への興味がきっかけでした。
と書いてあるように、その興味の対象として編者が何らかの感銘を受けた、「女性による」エッセイが29編収録されている。その中に新井素子さんの『くますけと一緒に』の単行本版のあとがきがある。これを収録した編者の意図は想像するしかないが、『くますけと一緒に』がどういう発想の元に成立したか、を書いたこのあとがきは刺激的な*1エッセイとしても読めるかも知れない。
- 『FOR LADIES BY LADIES』,近代ナリコ編,ちくま文庫,840円+税,ISBN:4480038892
登場する執筆者の名前は俺にとって知らない人ばかりだった。名前は知っていても、その著書を読んでいなかったり仕事の内容を知らない人がほとんどである。平野レミのエッセイが一番面白く読めたのだが、マシュー南と料理を作っていたこのうるさいおばちゃんが元々シャンソン歌手で和田誠の奥さんだとは知らなかったよ。ところで、この人だけ生年が書いてないのには何か理由でもあるんだろうかね。