森岡浩之『夢の樹が接げたなら』。

森岡浩之の小説を初めて読んだ。本当は新井素子さんが「週刊ブックレビュー」で推薦していた本を読みたかったのだが、図書館には入っていない。それならデビュー作から読んでみるかと借りてきたのである。この本にはハヤカワSFコンテストで入選した表題作を始め、『S-Fマガジン』に掲載された短編が8本収録されている。それらがいずれもあまりにもまっとうなSFで、それぞれが際立ってよくできており、しかも面白いので驚いた。『S-Fマガジン』はずっと買っていながら、中をほとんど読まないので森岡浩之の小説も全く眼中になかったのである。森岡がデビューしたのが1993年だから、この10年ちょっとの間俺は森岡浩之のSFを知らなかったということになる。なんということだ。こんな凄い人が出て来ていたのか。俺の中の眠っていたSFが久しぶりにちと疼いた。
その失われた時間を取り戻すべく、この6月は森岡浩之強化月間とすることに決定。とりあえず『星界の紋章』に手を出してみよう。これはSF研の先輩(SFをほとんど読まない人)も面白いと言っていたことを思い出す。図書館で借りて来よう。