御尊父逝去の年。

他家の不幸のことをネタにするのもどうかと思いつつ書いてしまうのだが。
新井素子さんの御尊父がお亡くなりになったのは2001年だと思っていた。その理由は連載エッセイ「お元気ですか」の「遺産相続でおおわらわ 父の残した”山脈”とは…」の回(『クロスワードハウス』2002年12月号掲載)にこのような文章があったからである。

去年、うちの父が亡くなった。今月半ばには、父の一周忌がめぐってくる。

同年に掲載された「いくらなんでも流せない、お葬式にそぐわぬ名曲」の回(『クロスワードハウス』2002年3月号掲載)の冒頭にも、

先日。父が亡くなった。

との記述があり、また「スーパーで評判の、ダンボールおばさんの正体は…」の回(『クロスワードハウス』2003年8月号掲載)にも、

前にもちょっと書いたことがあったけれど、一昨年うちの父がなくなって、私は、父の蔵書の過半数を相続した。

と書いてある。以上のことから逝去の年は2001年でほぼ間違いないように思われた。
しかし、連載エッセイ「monomonoパラダイス』の「夢の本棚」の回(『本の旅人』2003年12月号掲載)に次のような文章がある。

この家ができて……二年たったころだろうか、父が、亡くなった。

「この家」とは一階のほとんどが書棚になっている新築の家のことである。建ったのが1996年の筈だから、この記述からすると御尊父がお亡くなりになったのは1998年頃ということになってしまう。
2003年に書かれた二つのエッセイで逝去の年に関する記述の食い違いがあるのはどういうことだろう? うーむ。エッセイだからと言って必ずしも事実を書かなければいけないということはないから別にいいんだけど、気にはなるのである。