大槻ケンヂ『ロッキン・ホース・バレリーナ』。

読了。図書館で借りた本。『リンダリンダラバーソール』に続く「少女の履き物」シリーズ第二弾*1。”18歳で夏でバカ”なバンドの3人+マネージャーのおっさん+家出少女の御一行様が東京から博多まで移動するバンドツアーの様子を追っかけた青春小説で、「ロード・ムービー」という言葉に引っかければ差詰め「ロード・ノベル」とでも言ったらいいのか。著者の経験が多分に反映していると思われるツアー中の事件やエピソードなどが面白おかしく時に切なく描かれている。著者の近作に共通して言えることとして時にそれは「俺も昔はバカやってたけど今じゃすっかり真人間になったよ」という不良の昔話的な説教臭さが立ち上ってくるのだが、それでもこの登場人物たちを見つめる著者の温かい視点は読んでいて気持ちがいい。ラストシーンはちょっと出来過ぎだよなあと思ったし、過去のあの大槻を知るものにとっては彼がこういう生ぬるい物語を書いてしまうことに違和感を覚える部分もある。そんな感情をひっくるめても素直に感動して読めるいい話であった。大槻、小説がもの凄いうまくなってるよね。感心した。

*1:嘘。