大槻ケンヂ『綿いっぱいの愛を!』。
読了。図書館で借りた本。『ぴあ』連載のエッセイ「神菜、頭をよくしてあげよう」の2003年12月1日号〜2005年3月17日号掲載文に『本の雑誌』掲載されたエッセイや書き下ろし文を追加して単行本化したエッセイ集。タイトルは大槻が嵌っている快獣ブースカのぬいぐるみから。大槻はそのぬいぐるみと会話する生活を送っているようだ。その次第はエッセイ「ぬいぐるみ旅のススメ」に詳しい。むー、ここにもぬいぐるみの言葉が判る人間が。ぬいの言葉が判らない人間としてはこの大槻の動向もちょっと気にかかるのであった。
面白かったのは永井豪のマンガ『デビルマン』が映画化されると聞いて書かれた”「デビルマン」原作原理主義者の独り言(無視して下さい)”の中の件。
気になるのはボブ・サップがキャスティングされていることだ。一体何の役をやるのだろう、考えられるズバリの役柄はバッチリこれだ。
タレちゃん。
予想外の名前が出てきて吹いた。
他には”いつでも映画化待ってます!「戦国アントニオ猪木」”がいい。小説を依頼されたものの何もアイデアを思いつかないまま打ち合わせに臨んだ大槻が、口八丁でアントニオ猪木が戦国時代にタイムスリップして事件を巻き起こすというSFをでっちあげる無茶な話である。話がよくできすぎていてそりゃやっぱり小説のアイデアというより酒の席のネタのように思われ、冗談はさておき、と言った編集者の気持ちは良く判るのである。しかし猪木という素材を使った内容は非常に魅力的だ。「戦国アントニオ猪木」、ノンフィクションなら見てみたい。
このエッセイの最後に「この道を行けばどうなるものか」の詩の作者が小林一茶と書いてあるのだが、そういう説もあるのだろうか。それとも一休禅師と小林一茶を「一」つながりで間違えたのだろうか。気になるのである。
- 『綿いっぱいの愛を!』,大槻ケンヂ,ぴあ,1300円+税,ISBN:4835615301