大森望『現代SF1500冊 乱闘編1975〜1995』を読んでいる。

SFファンという自覚はありながら小説も『S-Fマガジン』も殆ど読んでいない自分にとっては過去の出版史や出版事情を概観してくれるとても重宝する一冊である。
新井素子さんがコバルト文庫デビューを果たした1980年は海外SF出版が質量ともに過去最高を記録(P.29)したのだそうだ。1978年の映画『スターウォーズ』公開より始まったSFブームが最高潮に達していた年で、各社から翻訳SFの出版が相次ぎ、コバルト文庫からも風見潤編『海外ロマンチックSF傑作選』*1全三巻が出版されている。当然日本人で少女向けSFを書ける人材も捜していたと思われ、その流れで新井素子さんに白羽の矢が立ったというのは経緯はあったのかも知れない、と推測で言ってみる。

*1:原文では『海外ロマンティックSF傑作集』となっているが「傑作選」が正しいタイトルだと思われる。