小松左京『ユートピアの終焉』。

読了。図書館で借りてきた本。「イメージは科学を超えられるか」と副題が付いている。出版は1994年で、それまで著書に未収録だったエッセイをまとめた本である。小松左京が、自分の書くものが何故SFでなければならなかったのかを語る箇所が最高に興味深い。それは同時にSFとはどういうものなのか、SFに何ができるのかに言及したSF論となっている。当時の知見を総動員しながら様々な考察の果てにSFに辿り着く過程はスリリングでさえある。他に宇宙開発を広い視野から眺め、新たな提言を繰り広げる第三部「月開発時代と日本の立場」も著者のスケールの大きさを感じさせて刺激的である。いろいろとメモを取りながら読んだ。エッセイの本筋と関係ない部分でも個人的に触発されることが多く面白かった。