石川雅之『もやしもん』第1巻。

「読書の缶詰」を立ち読んだ後に店内を捜したらちゃんと置いてあるじゃねーですか。雑誌と一緒に買ってきた。初めて目にする作者と作品だ。
タイトルの「もやし」は種麹のことである。

作中の解説によると種麹屋のことを「もやし屋」と呼ぶらしい。ネットで調べた限りでは酒造業界では一般的な呼び名のようだ。
その「もやし屋」の跡取り息子で何故か肉眼で菌を見ることができる主人公の、東京にある農業大学でのキャンパスライフを描いた話である。老教授の怪しげな振る舞いと意味深な台詞からするとこの先の展開はどうなるか判らないが、少なくとも今の処はそんな感じだ。
新井素子さんも書いておられるように、漫画内に描かれている擬人化された菌たちが異様に可愛いらしい。絵そのものが丸っこくて可愛い上に「かもすぞー」なんて台詞をぽつりぽつりとしゃべったりする処がまた愛らしい。作中には実に様々な種類の菌類やウイルスが登場している。我々の生活が如何に細菌まみれなものかを実感させてくれるのも面白い。個人的には酒の醸造に関わる部分が特に興味深かった。

ちなみにこの本は今年の5月に出版されたのだが、俺が買ったのは9月に発行された第4刷であった。速いペースで増刷されている。けっこう人気は高いようだ。作者の公式ページを見ると明日21日に第2巻が発売されるらしい。とりあえず買っとくか。

*1:新井素子さんの小説『あなたにここにいて欲しい』で主役二人がこの酒を飲んでいた。