菊地秀行『新・魔界行 魔群再生編』新バイオニック・ソルジャー・シリーズ1。

読了。購入本。読み始めて前三部作の内容をほとんど覚えていないことに気が付いた。改めて感じる20年という時間の長さである。驚いたことに物語の中でも同じように20年の歳月が経過している。物語は主人公南雲の過去を掘り起こしながら進むのだが、それと同時に俺の記憶も掘り起こされる。前作の登場人物に関連のある人物が登場して、そんな人がいたことをやっと思い出したりもした。
物語としては南雲の心の揺れ動きに焦点を当てて語られる場面が多いので『インベーダー・サマー』や『風の名はアムネジア』のように叙情的な面が強く出ているように思った。昔はもっと小説全体が容赦ないというか非道な所業が多かったような気がするが。それでも久しぶりに読んだ菊地秀行作品の感触は悪くない。続編を期待したいと思う。