1988年12月16日の朝霞台。

上に書いたような事情で自分の本棚にあった『檸檬』の文庫本を読み返していた。と、ページとページの間に何やら紙が挟まっている。コンビニのレシートである。どうやらしおりがわりに使ったものらしい。
印字された文字を読んでみる。発行したのはミニストップ朝霞台駅前店。朝霞台東武東上線の駅である。東洋大学朝霞校舎の最寄り駅だから、俺も在学中はよく利用していた店だ。日付は1988年12月16日。88年ていうと大学3年の時である。当時の東洋大学では3年生以上は白山校舎で講義を受けることになっていたが、俺は単位の取りこぼしがかなりあったので朝霞校舎にも通っていた。だから朝霞台にいることは別に不思議ではない。しかし、時間が00:54ていうのは一体どういう訳だ? 終電はとっくに行ってしまった時間である。住んでいたのは成増であり、この時間ではもう帰ることができない筈だ。明細は255円と1380円の食べ物を買っていることを伝えている。値段からしてつまみと酒の組み合わせに決まっている。普通なら友達の部屋へ行って朝まで飲み明かしたという推測が成り立つのだが、1988年当時の朝霞台周辺に泊まれるような友人はいなかったような気がする。ここで記憶の糸がぷつりと切れるのである。
1988年12月15日から16日にかけて、俺は朝霞台で何をしていたのだろう。ちょっとしたミステリィだ。

2006/01/05追記

友人がコメント欄で教えてくれた通り、1988年には俺はまだ大学2年だった。大学3年だったというのは俺の勘違いである。その時代なら朝霞台駅から歩いて行ける距離に友人がいたので、きっとそいつの部屋へ行って飲んだのだろう。