読了。新井素子さんが解説を書いていたので買った本。著者のダメ主婦ぶりが笑いを誘うエッセイなのは新井素子さんが解説で書いている通り。解説では、青木るえかのエッセイ第一弾『主婦でスミマセン』に収録された中村うさぎの解説からマンガ家の倉田真由美の言葉を引き、
「この女に較べたら、私なんかまだまだマシ!」と思えてきて生きる勇気が湧いてくるよねー。これが中村うさぎの『正しい読み方』だと私は思う」
更に中村うさぎ自身の言葉を引く。
青木るえかは、私よりダメだ(笑)
そして中村うさぎと青木るえかの著書を読んだ新井素子さんはこのように思うのである。
私は、自分で自分のこと、もの凄い駄目主婦だって思っているけど、(特に掃除関係が壊滅的に駄目)、お二人より、ましだあっ。
まさに駄目主婦の三段逆スライド方式、駄目主婦たちが奏でる魅惑のハーモニーという感じなので、自分の駄目主婦ぶりに自信のある方は試しに読んでみるといいんじゃないかと思う。
俺はたまたまタイミングが悪くヨワヨワ状態の時に読んでしまったので、笑えないどころか身に積まされてやるせなくなったりする処が多々あって参った。著者のだんなの傍若無人ぶりと自己完結ぶりが逆に羨ましくなったりしてしまうのが困ったものだ。
読んでいる途中で「戸川純的」という言葉に引っ掛かった。著者は戸川純がキライだそうだ。「主婦、だんなを尊敬す」の章、P.35-36より引用する。
一時期、戸川純がもてはやされた頃(いったいいつだ。二十年ぐらい前か。思わず遠い目になりますなあ)、とにかく私は戸川純がキライで、彼女の仕掛けはことごとくつまらなく、私でも思いつくようなことであり、でも私のようなぼーっとしたさえない女がそれをやったってウケやしねえのに、戸川純みたいなルックスの持ち主がやると、ある種の人々はことごとくその仕掛けにひっかかりやがる、というその構造にとてつもなくハラをたてていたのである。
要は僻んでいるのだが、その僻みっぷりがどうもピンと来ない。だって戸川純の顔はお世辞にも可愛いくねーじゃん。というか、そもそも戸川純てルックスで売ってる人では全然なくて、顔を愛でる対象ではあり得なかっただろうと俺は認識しているのだが。ビートたけしの『刑事ヨロシク』に出演してた時なんて、顔が陰気だからって役名は「おツヤ」ですよ。これに嫉妬する気持ちが判らない。著者のだんなは「戸川純的なもの」を、
「面白くもない女が、ルックスが小可愛い(しかし、すごく可愛いわけではない)ので面白くもないことやってチヤホヤされる」
と規定している。そういう種類の人間は確かにいる。しかしその代表が戸川純て処が全く共感を覚えない。
- 『主婦は一日にして成らず』,青木るえか,角川文庫,400円+税,ISBN:4043686048