たまたま思い出した話。
石原藤夫博士が『S-Fマガジン』誌主催の小説新人賞「ハヤカワSFコンテスト」の審査員をしていた時、応募原稿で「きちがい」を「気狂い」と書く人が多くて困る、これは誤記なのでちゃんと「気違い」と正しく書くべし、と選評の度に言っていたことを、『ひとめあなたに…』を書き写していて思い出した。
しかし、『広辞苑』を調べてみると「気違い」「気狂い」が併記されていることが判る。
『大辞林』第二版、『岩波国語辞典』第三版も同様で、後者の凡例によれば「気狂い」という表記は、
常用漢字表にある字であるが、音訓欄にその音訓が取り上げられていない場合
に該当するらしい。
だから日本語表記として間違っている訳ではないんだな、ということを高校生の頃に覚えた。それだけ。
全然関係ないが、昔は「メンヘル」をよく「メルヘン」と見間違えた。今では「メルヘン」が「メンヘル」に見えて困る。