『コバルト』2006年2月号。

書店で購入。コバルト文庫30周年特集が掲載されるというので買ってみた。もちろん新井素子さんに関する記事があるんじゃないかという下心からである。

30年分の「ありがとう」をあなたに!
コバルト文庫創刊30周年総力特集第一弾

との文句が地味に表紙の片隅に書いてあるのに嫌な予感を感じつつ、読んでみれば果たして特集全部で6ページしかないのには腰が抜けた。うー、そうですか。やはり文庫の歴史よりも『マリア様がみてる』の方が大事ですか。もうちょっとなんかあるんじゃないかと思っていたのに、期待は1月の空に儚く消えた。
特集の内容は二つ。文庫のチャート式歴史年表と「ジャンル別ヒロイン&ヒーロー名鑑」である。
歴史年表の方に新井素子さんの名前は一切登場していない。一時期のコバルトを代表する人気作家だったのに、正史に登場してこないのは外様だったからだろうか。1981-1985年は「コバルト四天王」(氷室冴子田中雅美、正本ノン、久美沙織)が活躍した時代だったそうである。
「ジャンル別ヒロイン&ヒーロー名鑑」では、「SF」の項に『いつか猫になる日まで』の海野桃子が登場していた。

SFは女性読者が少ないといわれるジャンルでしたが、80年に新井先生が登場してから、宇宙がぐっと身近に♥未来への憧れを形にしました。

だとさ。コバルト文庫初登場作はここで紹介されている『いつか猫になる日まで』である。小説解説本に”コバルトにSFを持ち込んだ”とまで書かれるセンセーショナルな出来事ではあったらしい*1
それで思い出したのだが、『S-Fマガジン』の1978年頃を読んでいると、サークル紹介のコーナーに女子高校生だけのグループなんてのが出ているのである。SFに女性読者は少なかったというのが定説なら、彼女らは一体何なのか? ごく一部の極端な例? ふーん。その時代を体験していないので何とも言えない。新井素子さんがSF方面でも少女小説方面でもブレイクする下地というのは実は1970年代末には形成されつつあったのではないかという気はする。

*1:集英社文庫コバルトシリーズはそれ以前より豊田有恒やその他のラインからSFの導入に積極的だった形跡が伺われる。新井素子さんもその新人SF作家群の内の一人だったようである。