スティーブン・N・オースタッド『老化はなぜ起こるか』。

図書館で借りた本。ヘイフリックの『人はなぜ老化するのか』が1983年に発行された古い本であったので、もっと新しい本で老化という現象をもっと広い視点から知りたくて読んでみた。「コウモリは老化が遅く、クジラはガンになりにくい」とサブタイトルが付いている。「老化」という現象についてさまざまな説を紹介し、その機能的役割や、進化論から見た老化の有効性、人間の身体における老化とそれに関わる様々な事柄や疾病の考察、今後老化を克服する手段は見つかるのか、といった幅広い内容が書かれており、読んでいてとても楽しかったし参考になった。
老化のメカニズムには様々な仮説が立てられているようだが、決定的な原因というのは判っていないそうである。この本の執筆当時(1997年)には、老化を防止する手段は全く存在せず、そのように謳った薬品や両方は全くのでたらめであると断言する歯切れの良さが気持ちがいい。