『IN★POCKET』1988年8月号。

古本屋で購入。新井素子さんと菊地秀行の初めての対談「事実は小説よりホラーです」が掲載されている。新井素子さんが宇能鴻一郎の文体に言及しているという情報を得ていたので*1、ようやく確認できると喜んで読み始めたがそんなことこれっぽっちも書いてなかった。

むかし菊池秀行と新井素子が対談したときに新井さんポルノはやらないのって菊池がいったらそしたらやってもいいんだけどあたしがやると宇野鴻一郎さんになっちゃうんですって新井が答えててなるほどそれはその通りだと思ってそれならおれいやあたしにもできるかもしれないって思ってはじめたのがKOUKOです。

どうやらこれを書いた方が何か勘違いしていたようで、実際には次のような会話が交わされていたのであった。P.15より。

菊地 ホラーは書かないんですか。
新井 書けたら書きたいですねえ。すごい書きたい。
菊地 あなたの文体でホラー書いたらすっごいのできますよ、きっと。
新井 怖くなんないんですもーん。こわいの書きたいんですけどねえ。

ホラーとポルノを取り違えて記憶していたんでしょうな*2。ちとがっかり。しかしこの対談自体は非常に面白いものであった。その触りだけ書いてみようか。

  • なぜ吸血鬼が怖いか判らない。
  • デビュー時に筒井康隆から、清書する癖をつけると生涯清書しなければならなくなるからやめた方がいいと言われたが、その頃すでに癖になっていたものだからきっと生涯直らないだろう。
  • 書き直すのは全然苦にはならないから調子に乗ってない時などみんな破棄してしまう。
  • ネプチューン」はショートショートを書くつもりで結局180枚になった。

他にも興味深い話は満載なのであった。情報は素研に掲載済み(→素研:『IN★POCKET』1988年8月号』
この対談は文京CATVの番組で収録したものを再編集したものだそうだ。この映像も見てみたいものだが、今となっては難しかろうなあ。

*1:右記を参照のこと。id:akapon:20040207#p4、id:akapon:20040209#p1、id:akapon:20041017#p1

*2:大原まり子が昔『S-Fマガジン』の若手作家座談会でポルノを書いてみたいと言っていたことは記憶しているが、まあこの件とは無関係だろう。