「SF雑誌の中から新井素子さんの名前を見つけよう」その6。

SF雑誌の1981年発行号の調査を終了した。調査したのは『SF宝石』『奇想天外』『SFアドベンチャー』『S-Fマガジン』の4誌である。
中編「ネプチューン」で『S-Fマガジン』1月号に初登場*1『奇想天外』6月号には長篇『扉を開けて』が一挙掲載され、著書では『星へ行く船』と『ひとめあなたに……』が刊行された*2。SF雑誌に名前が登場する頻度も上がり、各地で開催されるSFイベントにも精力的に参加している様子が見られた。
以上のことから、SF界における新しい世代の登場と目された新井素子さんが職業作家として業界に定着*3、安定して作品を供給し活躍の場を拡げた年と認識される。大原まり子火浦功岬兄悟など、同世代の作家も登場して*4、いよいよこれから今まで以上の活躍が雑誌で見られるようになる筈である。
上で記した4誌の内、『SF宝石』と『奇想天外』はこの年に休刊し、SF雑誌は老舗の『S-Fマガジン』と新興の『SFアドベンチャー』の2誌時代へと突入した。次は1982年の両誌の中から新井素子さんの名前を探すことにする。『SFの本』や『SFイズム』などのセミプロジンも発行されているが、そちらは後で各誌ごとに調査を行う予定。

*1:実際に発売されたのは1980年11月。

*2:集英社文庫コバルトシリーズからは『あたしの中の……』が再刊された。コバルト文庫では『いつか猫になる日まで』『星へ行く船』に続く三冊目の著書となる。

*3:ただし、実生活では大学2〜3年に在学中であり、専業作家ではない。

*4:それより以前ではSF作家クラブで一番年が近いのが夢枕獏だった、という状況であった。