半村良『石の血脈』。

読了。古本屋で購入した本。今まで読んだ処に依れば、半村良のSFは現代社会における権力の闇の部分に焦点を当て執拗に描いているという印象を受ける。この小説では吸血鬼伝説、人狼伝説、犬神憑き、巨石建造物などの題材を一つの物語に贅沢に織り込み、それらをめぐって権力に群がる者たちがうごめく様をミステリー仕立てで詳細に描き出す。この濃密さ、話のうまさで処女長篇というのが凄い。夢枕獏菊地秀行に連なる現代伝奇小説の古典的傑作。面白かった。