『さぁじゅ』1983年12月号。
Yahoo!オークションで落札した雑誌。巻頭特集のタイトルが「……。新井素子。」。この年に発刊された最新刊である『・・・・・絶句』に引っかけているのではないかと思われる。内容はインタビューがほとんどを占める。インタビュアがなかなかいい処を突いていて面白い。その中で平井和正の「人類ダメ小説」の影響について語っている箇所があった。
つまりは、中学校の時にウルフガイを読むとたいていの人はああ人類はダメだと思うことになるので、そーゆーふうに思っておりました。
あー、同じだ。俺も中学の頃は平井和正を読んで人類はダメだと思っていた。新井素子さんの小説を読んで否定と肯定を相対的に考えることができるようになった訳である。新井素子さんは思索の果てに「雨の降る星 遠い夢」において書いたような自然観にたどり着いたらしい。
で、ずーっとダメだダメだとくり返すと、ずーっと自己否定になっちゃうんで、あのぅダメだよくないってもね、じゃあ君はにんげんではないのかと言われると、なんとも言えないとゆー問題になってしまうんで、自己否定をずぅーっとね、3年ぐらいやった結果、あーゆーふうになったみたいです、どーも。
作家としての初期には「人類ダメ小説」の影響下にあったことは語られていたが、そこからどのように脱却したのかを語る言葉には初めてお目に掛かったような気がする。興味深いことである。