恩田陸『チョコレートコスモス』。

読了。図書館で借りた本。新井素子さんが日刊ゲンダイのエッセイ【週刊読書日記】で紹介していたので読んでみた。初恩田陸である。
凄かった。読むのが遅いこの俺が一日で500ページ強の本を読んでしまった。昨日の夜中に読み始めた時は「止まらない、眠れない」と焦りまくった。やばいほど読ませる。耽読した。
作中に幾度となく登場する芝居のシーンにのめり込むのだ。同じシチュエーションが繰り返されても飽きるということがない。それぞれのパターンを見事に描き切ってくれるのである。小説がここまで芝居というものを描くことができるのかと驚嘆した。新井素子さんも書いておられるが、小説って凄い、と素直に思ってしまった。文章に酔いながら、一体何処まで連れて行ってくれるんだろうとワクワクしながら読んでいた。
ただ、ラストシーンだけは取って付けたような感じがしてあまり好きではない。書くべきことはまだあるのに強引に終わってしまったような。これからがいいところじゃないかと言いたくなる。うーん、どうにも収まりが悪い。

関係ないが、俺は学生時代にほんの少しだけ演劇をかじったことがあり、身に積まされる部分もあったのである。新井素子さんは高校時代に演劇部に所属していたらしいが、どのような活動をしていたのだろう。この本を読んだ時にその時のことが思い起こされたりしただろうか、とちと気になった。