有川浩のインタビュー記事に新井素子さんの名前。

妹の家へパソコンの出張サポートに行った帰りに今度は忘れずに図書館でチェックした。朝日新聞2005年8月17日付夕刊の文化面(第8面/縮刷版P.808)に掲載された有川浩インタビューである。本文中に新井素子さんの名前が登場している。タイトルは「ほらとキャラで突き進む 有川浩さん(33)作家」。以下全文を転載する。

「ほらを大まじめに吹いてみたい」
小説を書く理由は明快だ。デビュー作『塩の街』(メディアワークス、以下同)では点から巨大な塩の柱が降ってきた。出世作『空の中』では空に楕円の透明生物が浮いていた。最新作『海の底』は横須賀に大量の巨大エビが押し寄せる。どれももっともらしい科学的解明があるけれども、もちろん大ぼらだ。
とはいえ、極限下に置かれた人間を見つめる目は鋭い。男子へのあこがれと女性の繊細さを織り込みながら、起伏に富んだ人間ドラマを繰り広げる。必ず自衛隊が出てくるのがご愛敬だけれども。
昨今、ライトノベルと呼ばれる少年少女文庫に注目が集まっているが、その分野の隆盛期に読者だった。とりわけ「星へ行く船」をはじめとする新井素子作品に影響を受けて、高校生のときから投稿を始めた。でも、落選続き。就職して「社会を体で学び」、結婚して再び書き始めた作品が、ライトノベル電撃小説大賞を受けた。
プロットはたてず、ほらとキャラクターを手がかりに書き始める。
「このキャラクターはこういう状況ならどうするだろうと考えながら書いています。作者の都合では動かさない。だから、ときどき物語なんてどうなってもいいじゃないかと思うときもあります」
確かに、こう進むだろうという読み手の思いこみは微妙にずらされる。天性のなせる技か。
「いえいえ、読書家の夫相手に、なんとか意表をついてやろうと思って書いているからじゃないでしょうか」
通り一遍でない物語構成にはもう一つのねらいがある。
「漫画を大人が読んでも違和感がなくなったように、大人が満足できるライトノベルを目指してます」
野波健祐