東浩紀の著作で新井素子さんに関係あるもの。

でなおかつ新井素子研究会に未掲載のもの。

前の二つはどこで知ったんだっけか*1。『ミステリーズ』の連載に関してはid:takahashim氏の日記で知った。第三回が掲載されるVol.28は4月12日ごろに発売される。うちの店には入荷しないのでまたamazonで購入する予定。なぜ「キャラクターズ」で新井素子著『・・・・・絶句』に言及しているのかその理由が判る人には判るらしい。
つっこみ処が二つ。
1.「キャラクターズ」のP.24より。

すべての元凶は桜坂なのだ。やつの、いい子ちゃんぶったところが問題だ。おれが阿部和重の悪口を言うと、「いい加減仲直りしなよ」と賢しげに諭したりしやがるやつ。そもそも桜坂洋は、ライトノベルの新人賞で審査員だった阿部和重に落とされている。あとで阿部本人に確認したところ、桜坂の作品を落とすことに決めたのは新井素子らしいが、桜坂は「阿部が強硬に主張したと編集に聞いた」と言っている。そんな男が、おれに向かってなぜ仲直りしろなどと言えるのだ。アホか。

ひょっとしてギャグかも知れないし事の真偽は置いておくが、でも誰が落としたって結局アンタ選考委員全員からダメ出し喰らっとるじゃないの。そんな応募作「魔法使いのネット」(後に『よくわかる現代魔法』と改題して刊行)の選評はこちら。(→http://dash.shueisha.co.jp/sinjin/sd_2.html

阿部先生選評
選外となった『魔法使いのネット』は、「魔法使いもの」という古典ジャンルにITの要素を導入し、独自の世界像を創り出そうとした意欲は買える。だが、それ以外の面においては退屈な印象が強かった。主人公をお人好しのドジっ子と設定しているが、今やオタク系作品において定番的なキャラとはいえ、あまりに型通りな描き方に終始しており、共感には及べない。致命的な欠陥は、主人公の(駄目な子なりの)努力と成長過程がまるで描かれぬ点だろう。作者は描いたつもりかもしれぬが、全く足りない。魔法使いの師匠も人物像が曖昧だし、機能性にも欠ける。ドラマの核となる騒動とその発端の設定もいい加減に感じられた。

新井先生選評
『魔法使いのネット』。実はこのお話、文章は気持ちよく、キャラクターにも厭みはなく、すらすら読めて……うん、減点法では結構いい処へいく筈。にもかかわらず、何故、このお話が賞をとらなかったのかというと……気持ちのいいキャラクター、さくさく進むお話の展開、これ、ぜえんぶ、どこかで見たことがあるような気がするからです。つまり、すべてが非常に類型的なんです。(特にキャラクター。)

高橋先生選評
実に今風だなあ、と言うのが正直な感想であります。よく書けてはいるのでありますが、いかんせん“今”過ぎるような気がします。よく読者や視聴者の半歩先を行くのがよいと言われますが、これからと言う人には半歩といわず一歩先を狙って欲しいと思うのですが……。具体的なことでは[聡史郎]をもう少し生かせなかったでしょうか。

堀井先生選評
まず『魔法使いネット』。魔法使いのプログラマという設定で、魔法のコードを物や身体に絡めるという発想は面白いと思ったが、ただ物語が設定の説明や状況に終始している感があり、事件はあるのだが展開に乏しい。また、主人公=森下このみが、しょっちゅう躓いたり転んだり、不運に見舞われることが、このみに潜在的な魔法の才能と、なんらかの因果関係があるかと思って読んでいたが、そのことには触れられていない。視聴覚室に現れた悪魔(?)に、このみが渦巻き印をつけるが、本当にただの偶然なのか? このあたり作者的には、なにか意味づけがあるのかも知れないが、説明不足さを感じた。

2.「セカイ系から、もっと近くに!――SF/文学論」第一回、P.328の注より。

5 『郵便的不安たち#』、六二頁、六五頁。[ ]内は引用者による補足。以下同じ。なお、この引用箇所でぼくは、『ひとめあなたに…』の主人公が「練馬から鎌倉までバイクを走らせ」ると語っている。本稿のために小説を再読したところ、それは不正確な要約であることがわかった。正確には、主人公は、徒歩で鎌倉に向かい、途中でバイクを手に入れている。

「小説を再読したところ」かよ。このやりとりを先生はお忘れになってしまわれたようだ。

ま、4年も昔の話だけどね。

*1:id:akapon:20070913#p2に記述がある。この時点から溜めていたようだ。