八薙玉造『鉄球姫エミリー』。

第6回スーパーダッシュ小説新人賞の大賞受賞作『鉄球姫エミリー』をようやく読了した。発売されたのは昨年の9月である。なんとなく読む機会がないまま日が過ぎてしまったが、第7回の選考結果も発表されたことだしそろそろ片づけねばと思い手に取った次第である。400ページ超とけっこう厚いのだが、文章が巧みで途中で飽きることなくするすると読めた。「鉄球姫」てくらいだからもっと鉄球を活躍させてほしかったとか、主人公が発しまくる下ネタがキャラクターを立てる役に立っておらずどうも話から浮いているとか、不満は少しあるのだが、戦闘場面はよく書けているし物語もダイナミックでとても楽しめた。大賞にふさわしい作品であると思う。続編がもう出ているらしいので取り寄せて読んでみようか。
ちなみに新井素子さんの選評はこちら。

大賞をとった『鉄球姫エミリー』は、登場人物全員の感情の流れが自然に納得でき、構成もめりはりが効いていて破綻がなく、見せ場もあり、なかなか感動的なお話だった。実際、今回の候補作の中では、実力的に頭一つ抜けていたと思う。これからもがんばってください。ただ、個人的な感想としては、頻発する下ネタ、魅力や個性というより、ただ邪魔なだけって気がするんだけど……。

下ネタの件は完全に同意。