第6回スーパーダッシュ小説新人賞の佳作受賞作である。文章もこなれてて読みやすかったしそれなりには楽しめたのだが、あまり心に響くものがなかった作品である。コメディ部分もちょっとノリについて行けなかった。中高生くらいの読者ならひたむきに前向きな主人公の行動に共感したりできるのかもしれない。あと不満なのは倒した相手からバッヂを取り上げるシーンが一つもないことである。バッヂを取り上げることによって相手の死(ゲームオーバー)が確定する訳だが、それが描かれていないので臨場感に欠ける嫌いがある。
これも続編が出るらしいのだが、この後どうやって話を繋げるのか、それはちょっと興味があるな。出たら買うか。
ちなみに新井素子さんの選評はこちら。
同じく佳作の『ガン×スクール=パラダイス!』。とにかく主人公が前向きで努力するところがいい。私はこの作者をかなりかっている。だが、このお話には、やたら問題点があり(大体、お話自体のテーマとお話最大のイベントが矛盾している)、賞に推す気にはなれなかった。でも、まったく新たな設定の、この作者の次作を、読みたいと思う。
お話自体のテーマとお話最大のイベントが矛盾している
というのは感じなかった。というかむしろ矛盾するまさにその点をクライマックスとして話が構成されているのだが、それは書き直された部分なのかな。
- 『ガン×スクール=パラダイス!』,穂邑正裕,集英社スーパーダッシュ文庫,619円+税,ISBN:9784086303774
で、今は同じく佳作受賞作の『警極魔道課チルビィ先生の迷子なひび』を読んでいる処である。