『ダ・ヴィンチ』2009年5月号。

「殿堂入りプラチナマンガランキング150」が目当てで購入したら有川浩の特集が組まれていたのでラッキーという感じ。で、「有川浩徹底解剖インタビュー」の発言中に新井素子さんの名前が出て来る。P.211より。

小学校に入ってからは、さらに読書のスイッチが入った。
「図書室に入り浸りましたね〜。学校の図書室じゃなくて、まちの図書館というものがあると聞きつけてからは、近所の友達とみんなでバスに乗って通いました。図書館デビューは小学校5年生で、地元の市役所の支所に入ってる図書館です。ちょうどその頃に新井素子さんと出会って、当時の女の子はみんなそうだったと思いますけど、コバルト(文庫)のほうにガーッといきました。私が一番印象に残っているのは、『星へ行く船』。新井さんはSFの比率が大きかったですけど、その中にちょこっと混ぜてくる、あゆみちゃんと太一郎さんの恋愛がすごく楽しくって。コバルトから飛び出して、新井さんが他のレーベルで書いてらっしゃる本をどんどん追いかけていきました」
そして、小説家になりたいという気持ちが決定的なものとなる。
「それまで本を読むというのは、ためになるとか勉強になるとか、お題目がないと許されない感じがあったんですけど、コバルト文庫や今でいうライトノベルのはしりとなったレーベルの発生で、”楽しむためだけに読んでいいんだよ”ってことを全肯定された感覚があったんです。本を読むのが好きって言うと、真面目な子供扱いされるのが、昔からものすごく納得いかなかったんですよ。本を読むことって遊びだし、遊び道具としての本があってもいいじゃないって思うんです。私もそういういうものを書きたい、”素ちゃん”になりたい”、”ライトノベル作家になりたい!”っていう夢は、その頃からずっとあるんです」

小学5年生の頃というと1983年くらいか。「星へ行く船」シリーズは第3巻の『カレンダー・ガール』まで出版されていた。『・・・・・絶句』が出版されたのもこの年。「星へ行く船」への言及は他にもされていて、森村あゆみちゃんと山崎太一郎さんの名前は『クジラの彼』のあとがきにも登場しているし、また有川浩は『ハッピー・バースディ』文庫版の巻末解説を書いているのだが、ここにも、

まずは初っ端に、「私たちはみんな”素ちゃん”になりたかった」という基本前提を申し上げてみんとします。
というのは、私と同性同年代の作家トモダチと「影響を受けた作家さんは」という話をしていて「思春期時分の『星へ行く船』シリーズがライトノベルのファーストインパクトだった」という共通体験が出てきまして。「あの当時、小説家になりたい女の子はみんな”素ちゃん”に憧れていたよね」と大盛り上がり。

という文章がある。