東雅夫・石堂藍編『日本幻想作家事典』。

一家に一冊置いておきたい事典だが、7,600円+消費税となかなか結構なお値段なので自腹では買うことができず図書館にお願いして入れてもらった。SF、ファンタジー、純文学、児童文学、ライトノベルと様々なジャンルより「幻想文学」を著した作家を網羅・解説した事典である。「新井素子」の項目があるのでファンは要チェック。いやまあSFやファンタジーが好きな人なら俺なんかに言われなくても読むでしょうけども。
新井素子」の項はP.34-35。それなりの行数を使って作家・作品分析がなされており、書いてあることはちょっと興味深い。面白いのは『結婚物語』『新婚物語』のタイトルが文中に出てくること。確かにテレビドラマ化もされた代表作だけど、知らない人はSFかと思っちゃうよねきっと。
新井素子関係では他にP.727「大和眞也」の項に名前あり。

第一回奇想天外新人賞に「カッチン」(七七)が佳作入選し、同時入選の新井素子と共に高校生作家として話題になった。

もう一つ、附録2「怪奇幻想映像小史」の【童話とファンタジー】の項、P.992に今関あきよし監督の映画『グリーン・レクイエム』についての記述がある。

美少女・恋心・悲劇と道具立ては揃っているのに、ストーリーも映像もいささか暗すぎる。

だそうです。そこがいいんじゃんと思うんだけど。
この事典には索引が付いていない。内容を参照したい場合は「アトリエOCTA 『日本幻想作家事典』紹介ページ」で配布されているExcel版とテキスト版の二種類の索引を使うべし。この二つは内容が違うので、一つだけでは情報に漏れがある。

日本幻想作家事典

手当たり次第に開いたページを読むだけですごく面白いんだけど、万城目学の名前がなかったのは意外。(12月10日追記:2006年以降にデビューした作家は割愛したと凡例に書いてあった。)