小田雅久仁『増大派に告ぐ』。

第21回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。この賞の大賞受賞作品は『後宮小説』しか読んだことがないので傾向は知らないのだが異様な小説だった。読んでる間中胸が痛みまくって最後の方は泣きたくて仕方がなくなったのは、たぶん俺が彼らと同じように人に対して負い目を感じながら生きている卑怯者だからなんではないかと思う。心当たりがありすぎて嫌になる。だから素直に面白かったとは言わないのだが、物語に引きずり込んで飽きさせずに最後まで読ませるパワーが凄く、ここまでマイナス方向に感情を揺さぶられた作品はあんまりない。

増大派に告ぐ

増大派に告ぐ