ドンブラコンLのプログレスレポート第1号と静岡県についての誤解。

ドンブラコンLとは来年2011年に開催される第50回日本SF大会の愛称である。
個人的にSF大会には2008年のDAICON7に新井素子さん関係の企画目当てに参加したことがあるだけで、いつもは関心外のイベントだった。しかし今回は地元開催でしかも新井素子さんが日本SF作家クラブ会長の在任中、ということで参加してみようと思ったのである。で、8月末にFAXで申込書を送付したんだが、それ以降主催者側からは何の音沙汰もなかったので本当に申込書が受理されたのか不安に思っていた処に、昨日プログレスレポートが届いて安心した、という次第。
プログレスレポートは、大会当日に向けて参加者に様々な情報を伝えたり関連した読み物を掲載した冊子、であるらしい。大会前に受け取ったのは初めてなので見るのも新鮮だ。第1号には実行委員長のあいさつ、翻訳家で静岡大学出身の嶋田洋一のコメント、「静岡SF大全」第1回・鼎元亨による『ゴジラ対ヘドラ』の考察、などが掲載されており興味深く読んだ。
しかし”「静岡SF大全」へのご招待”という文章の途中で二度ずっこけた。日本SF評論賞チーム代表として高槻真樹が静岡県と静岡SFについて言及しているのだが、県外人の認識が思いの外浅いことを知ったからだ。曰く、

YAMAHA、スズキ、ホンダ、カワサキ。世界四大バイクメーカーのすべてがここにある。バンダイ発祥の地もここでありタミヤ模型もここに本拠を置く。

突っ込みポイントは上記太字部の2点。
1) カワサキは静岡に関係ない。そりゃカワサキのバイクは売ってるけれども、川崎重工の創業地は東京・築地だし本社は東京と神戸にそれぞれある。カワサキモータースジャパンの本社も神戸だ。ちなみに、四大バイクメーカーで県内に本社があるのはYAMAHAヤマハ発動機磐田市)とスズキ(浜松市)のみ。ホンダ(本田技研工業)も本田宗一郎浜松市で創業した縁の深い企業だが、今の本社は東京で県内には浜松製作所と工場があるだけだから「すべてがある」というのは言いすぎの感がある。
……あと全くの余談だがオートバイのヤマハ発動機と楽器のヤマハとは関係は深いが別の会社なので誤解の無きよう。サッカーのジュビロ磐田のメインスポンサーはヤマハ発動機の方。
2) バンダイの発祥は静岡でなく東京・浅草。田宮模型(現タミヤ)を初め著名な模型メーカーの多くは県内発祥なんだが、バンダイは元々が玩具会社だから一緒にしてはいけない。確かにガンプラの生産拠点であるバンダイホビーセンターは静岡市にあるんだけれども、それと混同したのだろうか。
……これも余談だが、静岡県の模型メーカーについて興味がある方には是非「静岡ホビーフェア」をご覧頂きたい。1/1ガンダムが展示されていたりホビーミュージアムで日本のプラモデルの歴史を見ることが出来たりけっこう面白い。来年3月27日まで東静岡駅前で開催されている。→ http://www.shizuoka-hobbyfair.jp/
こうして見ると静岡県についての誤解と言うよりもそれぞれの企業に対する誤解の様な気もする。しかしこうした誤解を掘り下げることがより静岡県に対する認識を深めてもらう契機になり得るのではないかと思うので、第2号で訂正情報を載せてもらえると嬉しい。せっかく県外からたくさん人が来てくれるんだから、開催地とSFとがいいイメージで結ばれればいいよね。