日曜日に藤津亮太さんの講座「アニメ映画を読む 『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』」に行ってきた。

24日の日曜日にSBS学苑パルシェ校の講座「アニメ映画を読む」*1を聴きに行ってきた。講師は藤枝市出身のアニメ評論家・藤津亮太さん。
「アニメーション映画をとりあげ、その作品の成り立ち、特徴を分析し、どう「読んでいくか」深く読解していきます。」(今回の告知チラシより)
というのが基本内容で、昨年までは三ヶ月に一度の開催だったが今年から隔月になり、「アニメ不毛の地」と呼ばれる静岡県にしてはなかなかの盛り上がりを見せているのだった。俺は2年前に初参加して以来、毎回何かしら新しい知見とか解釈を得られるのが無性に楽しくて、ほぼ皆勤で参加している。前回の「女子向けアニメの歴史〜魔法使いサリーからプリキュアまで〜」が体調を崩し欠席となったのは、個人的な関心領域とも重なっていただけに無念であった。

今回のお題は「大人も楽しめるキッズアニメ」で『ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』と『映画クレヨンしんちゃん モーレツ!オトナ帝国の逆襲』の2本。
冒頭の挨拶でSBS学苑の鷹森氏が仰っていたように、7月22日に「ポケモンGO」が配信されたばかりでポケモン映画を取り上げるというのがなんともタイムリー。この日も朝からバスの中や駿府城公園で、一人であるいは集団でスマホの画面を熱心に覗き込んでいる人たちの姿を見た。ちなみにSBS学苑パルシェ校の中にもポケモンがいたそうで、業務中に捕まえた職員さんもいるとかいないとか。
俺はポケモンは最初のテレビシリーズをたまに見たくらいで、ゲームの方もゲームボーイで「緑」を途中までやった程度、クレヨンしんちゃんは原作も読んでないしアニメも見たことがない。事前にレンタルDVDで見たら、子供向けにしてはけっこうハードな内容という印象だった。
ミュウツーの逆襲』に関しては、タイトルが出て来るまでがやけに長くて意味ありげなので、そこに登場したキャラクターが後に話に関わってくるのかと思っていたら出て来ず、そのためミュウツーがやけにあっさりと納得してしまった感じがして、話としてはもう一山あってもいいんじゃないか(でも子供向けだし上映時間が長くならないための配慮だろうか)と思っていた。レジュメによるとその冒頭部分はラジオドラマ『ミュウツーの誕生』のエッセンスを映像化したもので、映画公開時にはなかったが現在のDVDで追加されたらしい。見た後でそれを知れば、おまけ映像だから本編との絡みはなかったのかと納得できて違和感は解消された。しかし初見の人にあらぬ期待を抱かせてしまう構成は罪作りじゃないかな、という一抹の不満は残った。
ポケモンの「テーマ」を読み解いてそこから導き出される最終回、という一連の流れが興味深かった。首藤剛志てそこまで考察を進めた上でポケモンに参加してたんだな。脚本家の仕事の凄まじさを感じた。一瞬だけ画面に写ったフジ博士の顔のモデルがあの人だったというのは驚いた。誰かに似てるなあとは思っていたんだけど、言われてみればという感じ。

で、ここまでの情報量で頭の中が飽和してしまい『オトナ帝国の逆襲』については話を聴きながらもあまりものが考えられなくなっていた。本来はそれぞれで独立した講座だったけれども今回は集客を鑑みて2本まとめたと藤津さんが仰っていたが、個人的にはいっぱいいっぱいでありました。レジュメのボリュームもいつも以上だし。『オトナ帝国の逆襲』はクレヨンしんちゃんのことを全く知らない人間が見ても面白かったので、これ1本の講座というのも受講してみたかったと思った。題材的にも興味のあるものがたくさん登場しているし、ケンとチャコというキャラクターにも何か惹かれるものがある。レジュメの「※ここからは妄想」の箇所は重大な示唆だと感じた。考える材料はいろいろ提示して頂いたので、もう一度見返した後にまたレジュメを読んでみようと思う。
(受講後2日目の夜に思考を彷徨わせている時、ふいにチャコと青春アニメ全集あすなろ物語」の冴子が重なって見え出したのは何故だろう。戯言。)
隣席の長@弾さんが、野原一家とケン&チャコがアパートに集合したシーンでウルトラセブンを思い出しましたと言ったのに対し、メトロン星人の回ですよねと即答したくらいには俺もそう思っていたのだった。古いアパートの夕陽の差し込む畳敷きの部屋でちゃぶ台を挟んで対峙する登場人物たちと来れば、製作者側が意識していなくても自動的にそう思うクラスタでございます。

受講後のお楽しみと言えば懇親会である。懇親会には前回・前々回と出ておらず久しぶりなので受講者同士の会話がやたら楽しく調子に乗ってビールを飲み過ぎた結果、二次会の途中から記憶が無い。もしかすると何かご迷惑をかけていたかも知れない。平にご容赦を。
くまみこ』ついて。確かに最終回のよしおのあの台詞はキャラからも物語世界からも逸脱しているのでなんかおかしいなとは思ったが、俺にとっての『くまみこ』は、一大決心して何かをやろうとしても結局失敗してナツのもとに逃げ帰ることになるまちの死んだ目を愛でる作品であるので、最後に味噌は付いたものの無問題、という感じ。アニメしか見ずに叩いてる人がいたとしたら、原作漫画(既刊6巻)を読んでくれるとうれしいなと思う。
あと言い忘れたが、『あまんちゅ!』、『あまんちゅ!』をよろしくお願いします! 伊東が舞台のご当地アニメですよ! アニメも原作(既刊10巻)もいいですよ! 静岡県のみなさん、よろしくお願いします。

次回の「アニメ映画を読む」は9月25日(日)、テーマは「映画『機動戦士Ζガンダム A New Translation』三部作」。Ζガンダムは本放送は途中で見なくなり、21世紀になってからようやく全部見たがやっぱりいまいち相性が悪いので、どんなことが聴けるんだろうという興味が怖いもの見たさで却って高まってくるのだった。初めて参加した『逆襲のシャア』の時のように。楽しみ。

(そう言えば「あすなろ物語」もご当地アニメじゃんね。)

*1:レジュメのタイトルは「アニメを読む」だったがチラシの方に従った。