”「キタ―!!」感”。

自分の感覚にあまりにもピッタリ来る言葉を発見すると愕然とする。むろんいい意味で、である。2ちゃんの某スレで”「キター!!」感”という言葉を見たときがそうだった。表現しようとすると難しいのだが、映画などで、こちらの興奮度合いが一瞬にしてレッドゾーンに突入してしまうような場面の展開を見せられたときの感覚のことである。今までにも何度も感じたことはあったのだが、的確に表現する言葉を持っていなかったのだ。
今までは個人的にはその感覚を、「石臼がぐるぐる回る感じ」と呼んでいた。由来は高校の国語の教科書に載っていた三島由紀夫の短文である。小説とはどういうものかを三島が書いていたのだが、『遠野物語』の一説話中のエピソードを挙げ、虚構と現実が激しくシンクロするその瞬間こそが小説であると説明していたように覚えている。(授業ではその短文には触れなかったのでうろ覚えである)『遠野物語』のその場面では、葬式中に死んだ当人が入り口から入ってきて、置いてあった石臼に体が触れると「石臼がぐるぐる回」ったのであった。その印象が非常に強くて、小説を読んでいるときに「こ、こうくるのか」という場面に出会ったりすると、頭の中で石臼がぐるぐる回るイメージがすぐに喚起されるようになったのだった。
「キター!!」感か。いい言葉を覚えた。