海原零『銀盤カレイドスコープvol.4』。

読もうかどうしようか迷ったが読んだ。第3巻と『ブルー・ハイドレード』第1巻を読んでこの作者と相性が悪いことははっきりと判ったが、それでもこのシリーズを読む気になるのは第1巻と第2巻の強烈な面白さが印象として焼き付いているからである。積極的に読みたいとは思わない。ただ物語の行方を確かめたいという欲求はまだ消えていない。
今回の主役は前巻までの桜野タズサではなくその妹の桜野ヨーコ。妹の成長物語を外伝的に描きつつ、姉の姿をも違った角度から描写するという意図があったと思われる。結構面白かったので続きが出たらまた読むかなあ。しっくり来ない部分もやっぱり多いんだけど。
途中の「チェリー」絡みのギャグは話の流れに無理があり笑えない。なくてもよかったエピソードなんじゃなかろうか。オチにまで絡んでくるが成功しているとは言い難い。桜野ヨーコ12歳の一人称なのに語彙が年齢不相応に豊かなのも違和感がある。ライターが彼女の談話を元に仕上げたという設定があったとしたってもう少し幼さを出す工夫は必要だったように思う。しかしまあ大人が書くとこんなものなのかも知れない。